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【登壇報告】札幌市で開催されたNoMaps2024での官民連携セッションに福岡地域戦略推進協議会石丸修平事務局長が登壇。札幌市秋元克広市長などと議論交わす

FDCニュース

STARTUP HOKKAIDO実行委員会と札幌市ならびにさっぽろ連携中枢都市圏は9月13日、札幌市で開催された「札幌・北海道からテック・エンタメ・クリエイテイブ領域において新たな価値を生みだすイベント『NoMaps』」内で官民連携セッションを実施。札幌市秋元克広市長、サツドラホールディングス富山浩樹社長、Forbes JAPAN藤吉雅春編集長、福岡地域戦略推進協議会石丸修平事務局長の4名が官民共創のまちづくりについて議論を交わしました。

冒頭、札幌市秋元市長は、市が様々な課題を抱えるなか「民の技術やノウハウを活用して1プラス1 が4にも5にもなるような社会を創っていきたい」とし、今年7月に福岡市による『mirai@』等を参考に設置した官民連携窓口『SAPPORO CO-CREATION GATE』で民間の提案を一括して受け付けるとともに、庁内や関係機関との調整も担う仕組みについて紹介。国から北海道が指定を受けた金融・資産運用特区や国家戦略特区も有効に活用するなど、これらの取り組みを通じて官民共創を推進していく考えを述べました。
続いて、官民共創によるまちづくりを地域で進めるためにはどうしていくべきか、また仕組みをどう構築するのか、など各登壇者から様々な意見が出されました。
その中でFDC石丸事務局長は福岡での官民連携について、先端技術を活用して社会課題の解決を目指すプロジェクトの実証実験を様々な面からサポートする『福岡市実証実験フルサポート事業』や、『国家戦略特区』を活用してクリーニング業法の規制を緩和し新たなサービスを生みだした事例などを紹介しました。そのうえで、「FDCでは10年後にどのようなまちを目指すかを示した地域戦略を掲げており、官民共創の取り組みについてもこの大きな戦略に位置付けて進めている」として官と民とがビジョンを共有することが大切だという考えを示しました。

議論において語られた札幌市秋元市長ならびにFDC石丸事務局長の発言要旨は以下のとおりです。

札幌市秋元市長
1 札幌市が思い描く官民共創のまちづくり
・ 全国的な課題でもあるが、札幌市が抱える少子高齢化や人手不足などの社会・地域課題は、行政だけで解決するのが困難な状況である
・ 課題の解決には技術的な面だけでなく、規制の面でもクリアすべきことが多い中、民間の技術やノウハウを組み合わせながら、札幌や北海道の魅力を活かし1プラス1が4にも5にもなるようなまちづくりを実現していく、それが札幌市の目指す官民共創の姿である
・ この思いのもと、民間から寄せられる様々な提案を一元的に受け付け、対応する官民連携窓口「SAPPORO CO-CREATION GATE」を7月に開設した
・ 例えば、これまでは交通、道路、福祉といった複数の部署が絡む案件は事業者がそれぞれの窓口で相談しなければならなかったが、受け付けた案件に関する庁内調整や関係機関との調整などは「SAPPORO CO-CREATION GATE」が担う仕組みとしている
・ 福岡市はまちのビジョンや地域づくりの思いが民間企業や団体の方々とうまく共有され、積みあがっている印象を持っている。札幌市も福岡市の事例などを参考にさせていただきながら取り組んでいきたい

2 国家戦略特区の活用
・ 再生可能エネルギーのポテンシャルが非常に高い北海道が再エネの供給基地となり、世界中からグリーントランスフォーメーションに関する資金・人材・情報が集積するアジア・世界の金融センターの実現を目指していくとの思いのもと、金融・資産運用特区に手を挙げ、東京、大阪、福岡とともに札幌・北海道が指定された。
・ また、これを契機として新たに国家戦略特区として北海道が指定されたことから、これまで先行して国家戦略特区の指定を受けている地域で既に行われている規制緩和の実例を札幌・北海道に適用することができる
・ 当然、新たな規制緩和の提案もできるので、「SAPPORO CO-CREATION GATE」等で規制緩和の提案も受け付けながら、官民共創で様々な社会課題を解決し、魅力的なまちづくりを進めていきたい

FDC石丸事務局長
1 官民共創のまちづくりについて
・ 民間とのプロジェクトにおいて2016年から「実証実験フルサポート事業」を進めている
・ 民間から様々な提案を受け付け、採択に至ると行政の施設や機能、データなど様々なリソースを活用できるような仕組みだ
・ 約240社/団体からなるFDC会員のネットワークも活かしたサポートも可能だ。会員企業は大企業からスタートアップまで様々で、また九州域内だけでなく東京圏など域外企業が半数以上を占めており、それら会員のリソースを活用できることは大きな利点だ
・ 例えば、街中でキャッシュレスを実装するために屋台を活用するなど案件によってはデジタルから距離がありそうなアナログな地元の担い手なども実証実験のスキームの中に組み入れている
・ 一方、国際会議やイベント開催増に向け誘致から実施までをワンストップで担う「Meeting Place Fukuoka(MPF)」という組織を官民が共創して設立するなど、官と民とでまちの成長に資する大きな枠組みの構築も進めてきた
・ これらの事例に加え、まち全体で取り組まなければならない戦略的な案件について官民が一堂に介し共創していく流れも生まれてきている
・ FDCには10年後の福岡市と周辺の市町村(福岡都市圏)をこうしたい、という地域戦略があり、この戦略のなかで今何が求められているかを明示しながら官民共創の取り組みを進められているのが特徴的だ
・ 官民共創においては、官民の違いを翻訳し、また第三者的立ち位置で、やるべきことをちゃんと示していくなど、官民共創を実現するには、第三者的ポジションの人が官民の間にいるということが大切だ
2 国家戦略特区の取り組みについて
・ 基本的な仕組みとして、「民間企業が主体となる」ことと定められているので、当然覚悟を持った民間の参画が必要となる
・ その際、民間サイドとしては、既存の法令に当てはめたて行ってきたビジネスを飛び越え、規制緩和が認められなければ実現しないビジネスモデルに対してどれだけリソースを投下できるかという難しい経営判断も求められる場合もある
・ 農業など北海道の持つ地域性ならびに優位性のある産業や技術を活かし、たくさんの人たちに参画可能性がありなおかつ将来性もあるビジネスを掘り当てていくことが大事なポイントだ
・ 国家戦略特区を活用しクリーニング業法の規制緩和を実現させたが、業法に絡む規制はこれまでの経緯などもあり、ロジックを組み立てるのがとても大変だった
・ 一方でそういった規制を抜くことで新しいビジネスやサービスに繋がる可能性も十分に想定されるだろう