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【開催報告】国連ハビタット&FDC連携イベント「脱炭素社会に向けた日本の技術~世界に通用するビジネス開発とは~」を開催しました

FDCニュース

福岡地域戦略推進協議会(以下FDC)と国連ハビタット福岡本部(以下ハビタット)は2024年2月1日、ハビタット&FDC連携イベント「脱炭素社会に向けた日本の技術~世界に通用するビジネス開発とは~」を開催しました。

FDCとハビタットは、アジア太平洋地域の諸都市の持続的な発展を実現することを目指して2016年9月に包括連携協定を締結し、FDC会員の技術・ノウハウの活用の可能性や域外での事業化の可能性などを共同で検討しています。また、2020年より国連ハビタットの持つノウハウやネットワークを活かし、福岡でのグローバルコミュニティ構築を目指したサロンを開催してきました。
今回の連携サロンでは「脱炭素」をテーマに、持続可能な未来の構築に向けた取り組みについて考えを深めました。
福岡市が2040年までに「温室効果ガス排出量実質ゼロ」を、環境省が2050年までに「カーボンニュートラルの実現」を目指しているなか自治体や企業の脱炭素に向けた取り組みが求められています。サロンでは脱炭素分野においてグローバルに実践されている方々から具体的な取り組みやアプローチについて紹介いただきました。また、国連気候変動対策会議「COP28」へ出席された、世界経験を基に最新トレンドについても紹介いただきました。

国連ハビタット&FDC連携サロン
「脱炭素社会に向けた日本の技術~世界に通用するビジネス開発とは~」

【プログラム】
・開会 ご挨拶
・「遮熱塗料が世界の温暖化を変える」株式会社ミラクール 常務取締役 深江典之様
・「福岡方式について~COP28参加を踏まえて~」福岡市環境局環境政策課 溝上奈穂美様
・パネルディスカッション「現地における企業、国連ハビタット、行政の連携」
 モデレーター:国連ハビタット福岡本部 本部長補佐官 星野幸代様
 パネリスト :株式会社ミラクール 常務取締役 深江典之様
        株式会社大建 代表取締役 松尾憲親様
        福岡市経済観光文化局 国際経済企画課 中村晋太朗様
        福岡地域戦略推進協議会(FDC) シニアフェロー 平山雄太
・質疑応答
・ネットワーキング

■「遮熱塗料が世界の温暖化を変える」
株式会社ミラクール 常務取締役 深江典之様

遮熱塗料とは、太陽光(近赤外線)を反射して建物が受ける熱の影響を軽減させる効果を持った塗料です。屋根や外壁に塗付することで建物内の温度上昇を抑制する効果があります。
講演では、遮熱塗料「ミラクール」の実績として国連ハビタットのパイロットプロジェクトへの参画や東京パラリンピックのマラソン競技コースで採用された実例を交えながら、遮熱塗料の効果について説明されました。

●地球温暖化対策としての遮熱塗料の効果についてのポイント
・屋根の遮熱化は空調ビルの冷房エネルギーを節約し、快適性を向上させる
・屋根と舗装を遮熱化すると、夏の都市のヒートアイランド現象を緩和する
・涼しい都市の表面(屋根の遮熱化と舗装の遮熱化)は、屋外の空気の質と快適性を改善する⇒空調機器の負荷が減る為、結果的に地球温暖化の改善へとつながる

■「福岡方式について~COP28参加を踏まえて~」
福岡市環境局環境政策課 溝上奈穂美様

環境負荷の低い廃棄物処分場の方法として世界的に導入が進んでいる「福岡方式」※の技術について説明。また、海外における福岡方式導入時の実例も上げながら、海外においてプロジェクトを進める際の難しさなどについて語られました。
また、2023年12月に参画したCOP28でのJAPAN pavilionにおけるブース開設やセミナーイベントの開催についてもご紹介するとともに「自分の目で見ることが一番。福岡市や国連ハビタットがやっているイベントや展示会に一緒に行って、現場を見る機会はこれからも作っていきたい。事業者様のビジネスチャンスを見つける機会としてぜひ有効に使っていただき、ディスカッションしながら一緒にビジネスの芽を探していきたいと考えている」と事業者への連携を呼びかけられました。

※「福岡方式」とは
福岡方式(準好気性埋立方式)とは、バクテリアの力を利用して廃棄物の分解を促進し、悪臭や温暖化効果の高いメタンガスの発生を抑え、埋立地の早期安定化を可能とする環境負荷の低い廃棄物処分場の工法。50年前から福岡市と福岡大学の官学連携によって開発がすすめられ確立された技術。
海外のゴミ集積地区に福岡方式を導入することによって跡地利用ができるようになっている。
また、世界の温室効果ガスの10%にあたる量は、処理の施されていない埋め立て場から発生していると言われている。そういった場所に福岡方式を導入することによって、温室効果ガスが20%から最大50%程度削減できるとされている。

パネルディスカッション「現地における企業、国連ハビタット、行政の連携」

モデレーター:国連ハビタット福岡本部 本部長補佐官 星野幸代様
パネリスト :株式会社ミラクール 常務取締役 深江典之様
       株式会社大建 代表取締役 松尾憲親様
       福岡市経済観光文化局 国際経済企画課 中村晋太朗様
       福岡地域戦略推進協議会(FDC) シニアフェロー 平山雄太

●福岡地域戦略推進協議会(FDC) シニアフェロー平山雄太

・脱炭素の必要性について、ヨーロッパでは生活が脅かされている実感がある。例としてジュネーブ。これまで涼しくてクーラーもないような地域で35度を記録した。
・国連や世界的会合の場で、環境対策、温暖化対策について具体的な目標値をもってやっていこうということが議論の対象となっている。それはすなわちビジネスの種になり始めているということ。
・日本の優れた技術をグローバルに広げていく事が国際社会から求められる役割の一つであるし、日本が飛躍していくためのひとつの大きなチャンスでもある。
・来季に向けて、福岡市環境局とFDC連携でグリーンエネルギーワーキンググループを立ち上げようとしている。ビジネスをするうえでは、国内外問わず信頼できる人間関係がないと進まない。関心のある方はぜひお声がけいただきたい。

●国連ハビタット福岡本部 本部長補佐官 星野幸代様

・これからグリーンビジネスのチャンスはますます広がってくる。その中で、まずは既にある技術や製品・サービスの中で大きく謳ってはいなくても、排出削減効果や対温暖化効果、また災害の抑止効果など、温暖化によってもたらされる災害に対して効果のある技術が日本には沢山ある。それを知り、活用し企業活動に活かしていかなければならない。
・(株)大建様、(株)ミラクール様、ともに10件以上の海外案件でご一緒してきたが、経験を重ねるごとにマニュアルがブラッシュアップされ、現地導入のステップがシンプルに改善されていくところがすばらしいと思う。

●株式会社大建 代表取締役 松尾憲親様

・雨水貯水タンク「ためとっと」
・ベトナム ホーチミンに株式会社大建ベトナムを開設。その他、世界13か所に拠点を展開している。
・展開先にベトナムを選択したのはBIM(Building Information Modeling)やCIM(Construction Information Modeling)の導入など技術的に国内より進んでいることもあり、技術を教わることができるという点もあった。
・国連ハビタットからの紹介やJICAの中規模企業案件化メニューなどを活用し海外に事業展開した実績を紹介し、中小企業が単独で海外進出に動くのは非常にリスクが高いと指摘。

●株式会社ミラクール 常務取締役 深江典之様

・海外の現地にいざ入ると、日本の常識は通じない。現地での施工は現地に倣うということも大事。ただ、安全管理などの面では妥協できない点もある。日本のスタンダードを押し付けることはできないのでジレンマもある。

●福岡市経済観光文化局 国際経済企画課 中村晋太朗様

・国内市場が縮小するなか、福岡市も地域経済の活性化は重要な課題の一つ。
・海外のビジネスチャンスに活路を見出そうとする企業等、特にインフラやグリーンテック分野の企業の海外展開の支援をミッションとしている。
・海外事業案件の受注とか地場企業のビジネス機会の創出を図るために国際ビジネス展開プラットフォームという枠組みを作り、セミナーや交流会を実施している。
・福岡市はフィジー共和国の水道事業における技術協力なども行っている。環境局・国連ハビタット・JICAはじめ民間企業の皆さんとも協力しながら官民連携の取り組みを引き続き推進していきたい。

開催後のネットワーキングでは、登壇者と参加者の間で活発な交流が行われ、今後の官民連携によるグリーンテックビジネスの展開への期待が一層高まるイベントとなりました。
国連ハビタット&FDC連携サロンでは、今後も海外の都市課題やビジネス開発に関するナレッジの共有と官民連携の交流機会の創造に努めてまいります。

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