福岡地域戦略推進協議会(以下FDC)は11月9日、福岡市環境局との共催により「持続可能な脱炭素社会に向けて〜世界をリードする北欧の先進事例から学ぶ〜」を福岡市の大名カンファレンスにて開催。環境先進都市・ヘルシンキ市よりFDCの連携先である「Helsinki Partners」を招き現地の自治体や企業の取り組みについて、トークセッションを行いました。
開催に際しFDC平山雄太シニアフェローは、「現在、福岡市とFDCは2024年の4月を目途に、グリーンビジネスを検討していくコミュニティワーキンググループの設置に向けた議論を進めている。今後、脱炭素社会の実現に向け、民間企業の方々と一緒に新しい取り組みを起こしていきたい。今回のイベントはそれに向けたキックオフと位置付けている」と期待を示しました。
また、福岡市環境局脱炭素社会推進部 栗秋寛哉部長は、「福岡市は2040年度に、カーボンニュートラル温室効果ガス排出実質排出量実質ゼロを目指している。行政だけではなく、事業者や市民の方々と一体となって取り組んでいかなければ到底実現することはできない目標。達成には、事業者が有する脱炭素に繋がる新たな技術やサービス、あるいはイノベーションを社会実装していくことが必要不可欠だ。このセミナーが、これからの企業様同士の連携のきっかけとなることを願う」と述べ、今後の産学官連携の取り組みへの協力を仰ぎました。
持続可能な脱炭素社会に向けて〜世界をリードする北欧の先進事例から学ぶ〜
■概 要
日 時 : 2023年11月9日 15:00-17:00
対象参加者: FDC会員・一般参加者50名程度
場 所 : 大名ガーデンシティ 4F Link Room2(福岡市中央区大名2丁目6-50)
■内 容
・挨 拶
FDCシニアフェロー 平山雄太
・ヘルシンキ取り組み紹介
Helsinki Partnersシニアアドバイザー Sonja Malin氏
・トークセッション「北欧ヘルシンキにおける脱炭素の取り組み」
〇モデレーター
FDCシニアフェロー 平山雄太
Helsinki Partnersディレクター Johanna Huurre氏
〇登壇者
フィンランド大使館商務部 志垣 圭氏
フィンランド国立技術研究センターVTT Tommi Suni氏
ヘルシンキ大学インキュベーターズ Mikael Malmivaara氏
三社電機製作所ヘルシンキ支店 田代賢吾氏
・事例紹介①「AIxESGの挑戦、脱炭素社会のその先へ」
株式会社aiESG 篠原宣道氏
・事例紹介②「西日本シティ銀行における融資サポートによる脱炭素支援」
西日本シティ銀行 比嘉慎二氏
・質疑応答
・挨 拶 福岡市環境局脱炭素社会推進部部長 栗秋寛哉氏
・ネットワーキング
■開催レポートは以下のとおりです
・ヘルシンキ取り組み紹介 Helsinki PartnersシニアアドバイザーSonja Malin氏
世界の脱炭素を牽引する欧州において、2030年までの都市のカーボンニュートラル達成ならびに2030年代末までの発電・発熱における化石燃料の使用ゼロ化を目指している環境先進都市・ヘルシンキ市の取り組みについて以下の点を中心に解説
・ヘルシンキパートナーズの役割
・フィンランドのビジネス環境について
・ヘルシンキの野心的な2035年カーボンニュートラル達成施策
・ヘルシンキエネルギーチャレンジ
・ヘレン社の水素技術発電
また、ヘルシンキパートナーズのアドバイザリーや伴走支援策として、現地でのビジネス開発支援プログラムについて紹介
・トークセッション「北欧ヘルシンキにおける脱炭素の取り組み」
〇モデレーター
FDCシニアフェロー 平山雄太
Helsinki Partnersディレクター Johanna Huurre氏
〇登壇者
フィンランド大使館商務部 志垣 圭氏
フィンランド国立技術研究センターVTT Tommi Suni氏
ヘルシンキ大学インキュベーターズ Mikael Malmivaara氏
三社電機製作所ヘルシンキ支店 田代賢吾氏
議論Ⅰ
「環境に関するイノベーションを進めていくにあたって、今フィンランドで盛り上がっているトピックは?」
・ 建物のメンテナンスや建築素材が挙げられる。強度、耐久性のある木製の建築素材。環境だけなく人々の健康にもやさしい素材。
フィンランドのマインドセットについて
・ サステナビリティを保ったうえで、人のwell-beingにつなげるという大前提の中で取り組んでいくというところがフィンランドの特徴。人間に生まれたメリットをきちんと享受して生きていくという大切な価値観を大前提として、それを支えるための社会政策と経済的な発展を進めていこうとしている。
議論Ⅱ
「今後、福岡市FDCでグリーンワーキンググループを設立しようとしている。ヘルシンキ市ではどのように大学や民間とつながっているのか。」
・ ヘルシンキはテストベッドだということを行政が強く打ち出し、積極的に新しいテクノロジーを取り込もうという意思を示している。
・ フィンランドの人口は540万人。福岡県ぐらいの規模。あらゆる知恵や人を総動員して一緒にやっていこうというスピリットがある。
・ 気候変動への危機感を全てのセクター、また市民が共有している。
・ 誰かがリーダーシップをとるというよりは、コミュニティが狭く関係性も近しいので、自然と同じような方向を向きプロジェクトのコミュニティが出来上がっていく。
・ 参画している人たちがお金(やリソース)を出し合いながら一つのプロジェクトを推進していくというようなところがある。
・ 中央政府、自治体、大学、国立技術研究所などの横の連携が強い。人と人との距離が非常に近い。エコシステムの産業がしやすい。
・国の税控除施策も、人材立国、技術立国としていくために知恵を絞った結果。
・事例紹介①「AIxESGの挑戦、脱炭素社会のその先へ」
株式会社aiESG 篠原宣道氏
・独自開発のAIで、ESG分析をアップデートし、ESG評価を九州大学福岡から世界に向けて発信し、評価のルールから作っている。
・今後、九州・福岡の大学が作ったサスティナビリティ研究が世界のお客様を相手に、環境価値の計算と、その分野において世界で唯一のものとなれるよう、5年後10年後の夢を描きながら活動を進めている。
・事例紹介②「西日本シティ銀行における融資サポートによる脱炭素支援」
西日本シティ銀行 比嘉慎二氏
・西日本フィナンシャルのホールディングスグループのSDGs、ESGの取り組み。
・脱炭素に対する各民間企業における環境認識、取り組みの現状について。
・サステナブルファイナンス商品の紹介。
・ネットワーキング
セミナー後のネットワーキングでは登壇者と参加者が積極的に交流を深め、会場の熱気からヘルシンキとの連携や産学官連携の可能性への期待感の高まりがうかがえました。
また、翌11月10日には、福岡市内および北九州において企業訪問や工場見学の場を設け、各社の海外展開における連携について協議しました。
今後もFDCは福岡・ヘルシンキ間、アジア・ヨーロッパ間における様々なセクターの連携を促進できるよう、ヘルシンキの産学官連携組織ヘルシンキパートナーズとの連携を深め事業連携に取り組んでいきます。