福岡地域戦略推進協議会(以下FDC)は、12月12日フィンランド・ヘルシンキの産学官連携組織Helsinki Partners(ヘルシンキ・パートナーズ)との共催イベント「フィンランド・ヘルシンキから学ぶサーキュラーエコノミー〜持続可能な事業成長に向けて〜」を開催し、世界で注目されているサーキュラーエコノミーをテーマとした先進的な取り組みについてHelsinki Partnersよりお話しいただきました。
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FDCは、同日 Helsinki PartnersとMoU(経済連携協定)を更新。ヘルシンキ都市圏と福岡の組織・事業間の友好関係と連携を深めるとともに、未来の持続可能な都市ソリューションを生み出す共創ラボを目指すことに合意しました。
開始にあたって、石丸事務局長は「カーボンニュートラルというキーワードが、国家的な方針として示される中で、今後この地域でどのように実現させていくか、今回のイベントでヘルシンキの例を皆さんとシェアをさせていただきながら、一緒にチャレンジしていきたい」と挨拶。
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Helsinki Partners CEO クラリス・バーガード氏からは、フィンランドがなぜ先進的取り組みに至っているのか歴史的背景や2030年までのカーボンニュートラル達成に向けた都市の成長についてお話しいただきました。
クラリスCEOは、「少ない人口の中で2030年までにカーボンニュートラルの達成を目指すには、一人ひとりが効率的に働く必要があるが、都市の戦略に組み込まれていることで、それより早く達成できるだろうと言われている」と市との連携の重要さを示しました。
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次に、Helsinki Partnersシニアアドバイザーであるソニア・マリン氏からは、
- サーキュラーエコノミーについての概略
- ビジネスモデルの紹介
- Helsinki Partnersが持つノウハウの共有
をお話しいただきました。
ソニア氏は、「これまでの直線型の経済(リニアエコノミー)を改め循環型経済(サーキュラーエコノミー)を目指すことはビジネスの持続可能性につながり、技術ソリューションが成熟してきている今、生産〜廃棄までに至るあらゆる段階にビジネスの機会が存在し、すべての段階が一つのループとして繋がっている」とサーキュラーエコノミーの重要さをお話しいただき、2050年までにヘルシンキが掲げるサーキュラーエコノミー達成に向けた戦略とその具体例をご説明いただきました。
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続いて、フィンランド北欧でのインパクト投資を行われている、NordicNinja VCマネージングパートナーの宗原智策氏より北欧全体についてのサステナブルインパクト投資について、北欧のスタートアップを取り巻く環境や現状を交えご説明いただき、今後の日本のスタートアップエコシステムにおける示唆などをいただきました。
宗原氏は、北欧のベストプラクティスと日本企業を繋ぐベンチャーキャピタルを行っており、現在北欧にて20社のうち3社ユニコーン企業を輩出、半数以上を日本へ送り出した実績をお持ちです。
宗原氏は、「日本全体でスタートアップエコシステムを盛り上げるという風潮となっているが、実は今ヨーロッパでは国の対決ではなく、都市間の勝負となっている。日本の場合は国の規模が大きいので、それぞれの都市で勝負することになる。そうなった場合には間違いなく福岡市は非常に有力な候補地になってくるし、面白いイノベーションハブが日本にある、と言える」と北欧から見た福岡の魅力について触れていただきました。
また、「日本とフィンランドの似ている部分と違っている部分双方向から見ていくと、フィンランドはマーケットが小さいのでソフトウェアに強みを持っている。対して日本は製造業が強い。マーケットが大きい。しかし、大和魂のような国民性は似ている。そういったところでは面白いオポチュニティがあるのでは、と思う。他に、マーケットのビジネスオポチュニティとして変化が訪れつつある。それが高齢社会。高齢社会が進んでるということは、ヘルスケアとか、そういった分野で壮大な社会実装ができる」と日本とフィンランドのマーケットの違いとその中での転換点についても触れ、今後のスタートアップにおける示唆をいただきました。
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また、翌日には「Hot investor news & breakfast from Helsinki, Finland」として福岡の投資家、関係者などをご招待し、博多イーストテラス内のハイブリッド型スモールオフィス「Mol.t」にてfuglen fukuoka(café:スウェーデン発のカフェ)の軽食とコーヒーを楽しみながら、フィンランドのマーケットに関する最新情報の紹介、ネットワーキング構築の機会を設けました。
福岡滞在中、FDCはHelsinki Partnersの意向を踏まえながら、リエゾン組織として福岡市内の様々な企業組織団体との面会の場をセッティング、意見交換や情報交換の場を設け、今後の連携に一層期待を持っていただきました。
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