中部経済同友会地域開発委員会のメンバー10名が7月5日、MICEを活用した交流人口拡大に向けた施策に関する調査研究のため、福岡地域戦略推進協議会(以下FDC)を来訪されました。
中部経済同友会は全国に44ある経済同友会のひとつで、中部地域の代表的企業から中小企業まで、多様な経営者約1000名が個人資格で加入し、会員相互の親睦、啓発・研鑽、外部への発信を目的とする会で、講演会・視察会の開催や政策提言等を行っています。
同会の地域開発委員会では、令和2年度より今年度にかけて「MICEを活用した中部地域への交流人口拡大」をテーマに活動を行っており、今回の視察はその一環として実施されました。
冒頭、同委員会ワーキンググループの高村幸宏リーダーは「中部地域は、ものづくり企業の集積地であることやリニア中央新幹線の開業を控えるなどのポテンシャルを持っている。それらを活用してMICEを積極的に誘致し、人々の交流を活性化することで地域社会の持続的な発展に繋げていくことが課題である。委員会では福岡市をMICE先進都市としてベンチマークしており、MICEを活用した交流人口の拡大に向けた施策について、FDCの取り組み事例から学びたい」と今回の視察意図について述べられました。
FDCは石丸修平事務局長、三島二郎ディレクター、橋本司FDC Launch Program長、神田橋幸治事務局長補佐が出席。
MICEに関するFDCの取り組みについて以下のように解説しました。
これまでの取り組みについて
- FDCは第1次FDC地域戦略に基づき、MICEを「都市の産業競争力に直結する経済インフラである」と位置付け、「MICEの推進による交流人口の増加」を目指した活動を推進してきた。
- 2012年度に『MICE戦略』を策定しMICEの誘致から開催までをワンストップで担うMPF(Meeting Place Fukuoka)の設立に至った。
- 福岡市が打ち出した『福岡 集客・観光戦略2013』とも連携していくことで実効性を担保してきた。
MICE戦略の改訂
- 2020年度に策定した第2次FDC地域戦略のもと、『MICE戦略』を改訂。
- 具体的にはMICEを「都市の持続的発展を支える社会インフラである」と再定義。
- MICE振興の目的を「ビジネス機会やイノベーションの創出」、「域外の経済力の取り込み」、「都市の国際競争力・ブランド力の向上」に改定。
- 新たに「ポストコロナを見据えた戦略」「解決するべき重要課題」「振興重点分野/ターゲット」の3点を戦略に追加した。
KPIの設定
- 「『第10次福岡市基本計画(福岡観光・集客戦略)』(2023年度~)を踏まえ、FDC独自のKPIを今年度に設定する予定
また意見交換では「FDCが短い時間で構想から設立までに至った要因」を問われ、石丸修平事務局長は「シアトルやメルボルンといった世界の10都市で構成し、福岡市も参画していたIRBC(国際地域ベンチマーク協議会)の活動の影響が大きい。特に日本の辺境にあってメガリージョンではない福岡市が競争力を持つためには何が必要かを常に考えている中、IRBC加盟の各都市の取り組みが大変参考になった。特にスタートアップ支援など都市が成長していくために必要な政策や課題について産学官連携組織を設け機能させることで地域がひとつになって推進していること、またそれが競争力となって新しい価値が生まれていることなどを学び、それらが皆に共有されたことで設立機運が一気に高まった」としました。
FDCは、福岡都市圏を核に広く九州、全国の自治体や経済団体に資する取り組みを引き続き進めて参ります。