福岡地域戦略推進協議会(以下FDC)と国連ハビタット福岡本部(以下ハビタット)は2022年8月9日、国連ハビタットFDC連携サロン「国際人材を惹きつける魅力的な都市とは」全3回シリーズの第1弾となる「意外と知らない!?街づくりにおける”アート”の可能性」をアートギャラリーGallery MORYTAにて開催いたしました。
サロンは、国連ハビタットの持つノウハウやネットワークを活かした福岡でのグローバルコミュニティの構築を目指して2021年度から継続して実施しています。
2022年度第一弾となる今回は、国連ハビタットベトナム事務所技術コンサルタントのChong Kieu(クオン・キユー) 氏と、Gallery MORYTA(ギャラリーモリタ)代表/アートフェアアジア福岡実行委員長森田俊一郎氏による講演と参加者を交えたネットワーキングでというプログラムでの開催となりました。
ベトナム ハノイのアートを活かした都市開発 Chong Kieu(クオン・キユー) 氏
治安が良くない状況の中、高架下の倉庫街にて、住民だけでなくお店を経営する人や地域に集まる学生など様々な人を巻き込みながらアートプロジェクトを行った事例などを紹介いただきました。
- 若いアーティストや海外アーティストを呼んで、街をギャラリーとし、様々なイベントが行われる舞台を住民や行政と連携しながら作り上げた。
- プロジェクトは、単に行政が一方的にすすめるものではなく、地域の住民に集まってもらい、どんなアートが街にほしいのか、どう街を表現したいのか、という意見を吸い上げるワークショップを開催した。
- また、子どもにとってどんな公共空間が遊びたくなるか、どんな街が遊びやすいかなどを取り入れ街の開発を進めていること、若いアーティストのコンテストも開催していることなど、アートと市民、行政の距離感が近くなるように日々取り組んでいる。
- 直接的な貧困解決ではなくアートに取り組むことに対して、住民から疑問視されることもあるが、住民が自ら集まって街の在り方を考えるプロセスを経ることで、これまでないがしろにされてきた住民の意見が街づくりに反映される。
- また同時に、住民が主体的に地域活動に参画するようになる。
- それによって、地域にちょっとしたコミュニティが生まれ、観光スポットが生まれ、経済が巡り、また街がきれいになり、住民の気持ちが明るくなって治安が良くなるという循環が生まれている。
- このように、アートはまちの環境改善全体に寄与する力を持っている。
まちにおけるアートの価値について 森田俊一郎氏
アートフェアアジア福岡実行委員長を務める森田俊一郎氏には、アートの価値や街とアートの関係について、FDCアソシエイト岩淵との対談形式でお話しいただきました。
- 世界において、アートは国・都市が先導を切ってサポートしているにも関わらず、残念ながらここ日本ではその価値観が根付いていない。
- 日本のアートシーンは他国に遅れをとってしまっている。
- アートフェアアジアフクオカが今年初めて福岡市との共催となったことで、 福岡におけるアートポテンシャ ルは大きく動き始めた。
- 海外では 「日本ではなぜ現代アートの人気がないのか」 とよく不思議がられるが、それは、日本人が初めて見るものに対する好奇心が訓練さ れていないこと、 また初めて見るものに萎縮してしまうような日本固有の教育や環境に原因があるのではないか。
- そんな世界に遅れを取る日本のアートシーンの中で、 福岡市がFukuoka Art Nextに取り組む意義は大きい。アーティストカフェがオープンし、アーティストのための相談窓口、 レジデンス機能の充実などアートを軸としたプロジェクトが続々と進められている。
- だからこそ、アートが街に飛び出し、アートを活かした街づくりが求められる。
- そこでもっとも大事なことはアートに対するディレクション。一言で言うと世界と共有する価値観を持つアートでなければならない。
- アートがもたらす精神性が、その空間の主の哲学を表す。
環境が人を育てる。アートがもたらすセンスはあらゆる人々の生き方を美しく、そして豊かに変えていくことができる。
講演の後のネットワーキングの時間では皆さん活発に意見交換をされ、街づくりやアート、国際都市に興味のある方々で交流がうまれました。
福岡市では”Fukuoka Art Next”をはじめ、アートに関わる様々な取り組みを進めています。FDCも、アートあふれるまちづくりに向けた取り組みを支援してまいります。