福岡県古賀市田辺一城市長様にご招待いただき、石丸事務局長が古賀市『薬王寺温泉・インキュベーション施設』を視察しました。
この施設は、サテライトオフィスの開設やテレワークを活用することで新たな人の流れを創出し、地方への移住や滞在を促進することを目的に創設された「地方創生テレワーク交付金」を活用した先進事例として注目を集めています。
視察内容につき以下にご報告いたします。
地方創生テレワーク交付金を活用し閉館した温泉施設を再生
薬王寺温泉は、古賀市にある由緒ある温泉地ですが、新型コロナウイルスの影響もろに受け100年余りの歴史を持つ温泉施設が昨年5月に閉館。
天然温泉という市の重要な観光資源かつ地域資源が失われることを危惧した同市の田辺市長により閉館直後から施設の活用方法が検討され、インキュベーション施設としての再生が進められました。
また、内閣府が新型コロナウイルス感染症の拡大を契機に国民の意識・行動の変容が見られることを踏まえ、地方でのサテライトオフィスの開設やテレワークを活用した移住・滞在の取組等を支援するため創設した「地方創生テレワーク交付金」※1 を活用した先進事例となりました。
温泉にも入れるなど魅力あふれる機能と万全のコロナ対策
「都市圏から30分ほどの近場」「高速道路のインターチェンジから車で15分」「自然の中でのびのびと過ごせる」「天然温泉に入れる」などの地理的メリットを活かし、社会の潮流である「働き方の変化」「テレワークの浸透」「サテライトオフィス・シェアオフィスの活用」を組み合わせ、「働く+学ぶ+楽しむ+癒し」を提供するインキュベーション施設となっており、魅力ある条件が揃っています。
また、施設には、withコロナ社会に合わせた作りが見られました。
一階の大きな広間には、作業用の机が並ぶコワーキングスペースがあり、一斉に大窓の方に向けられています。大窓からは青々とした緑が堪能できる様になっており、対話形式ではなく、一方方向を余儀なくされる今、逆にその形を活用した空間づくりになっていました。また、2階のオフィスは、少人数で入居する部屋がいくつもあり、小規模、または一人での入居が可能となっています。さらに驚くことに、「部屋の改装は奨励している」ということで、入居者が過ごしやすい空間を生み出すことができます。
メインターゲットは都市圏の企業や人です。自然を満喫しながら、創造性豊かに新規事業に取り組める、そんな空間となっています。
また、入居者のコミュニティースペースが広く設けられており、そこで対話を楽しめたり、入浴後のリラックス空間に使ったりと入居者が自由に過ごせる場も用意してありました。
バルコニーにも工夫がされており、館外でも入居者以外の人と交流が持てる場がありました。
温泉から新しいビジネス創出を
ご案内いただいた田辺市長は「今年度もさらに施設整備費を計上し、改修に取り掛かる。負担に意義はある。サテライトオフィスを構える企業への交付金も検討している。多くの企業が古賀市に来てもらえるよう、温泉から新ビジネス、というキーワードを掲げたい。」と施設への期待を語られました。
※1 地方創生テレワーク交付金
内閣府が、新型コロナウイルス感染症の拡大を契機に国民の意識・行動の変容が見られることを踏まえ、地方でのサテライトオフィスの開設やテレワークを活用した移住・滞在の取組等を支援することにより、地方への新しい人の流れを創出し、東京圏への一極集中是正、地方分散型の活力ある地域社会の実現を図ることを目的とし、サテライトオフィス等の施設整備・運営や、民間の施設開設・運営への支援等、地方創生に資するテレワークの推進により地方への新たなひとの流れを創出する地方公共団体の取組を支援する、というもの。
https://www.chisou.go.jp/sousei/about/mirai/pdf/teleworkkouhukin_gaiyou210510.pdf
一階にあるコワーキングスペース
2階のサテライトオフィス(2〜3人の個室)
温泉の隣に隣接するコミュニティースペース
入居者がいつでも使用できる温泉
右から 田辺 一城市長、石丸 修平事務局長、吉田 健一朗県議会議員