2016年5月23日・24日、欧州連合・欧州委員会が主催する国際会議「Open Innovation 2.0 Conference 2016」の『Open engagement platforms as value enabler』のセッションにおいて、カタリン・ガリアス氏(Civic Tech Amsterdam CEO)から、先進的なイノベーションエコシステムもつ都市の参考機関として福岡市および福岡地域戦略推進協議会の取り組みが紹介されました。
「Open Innovation 2.0 Conference 2016」は、欧州連合・欧州委員会が主催する、オープンイノベーションをめぐる、都市、ビッグデータ・IoTなどのデジタル化、アントレプレナーシップなどを議論する会議です。世界中から350名以上の専門家が参加し、議論を行いました。
本会議は2幕構成となっており、第一幕は、EUの取り組みとしてのデジタルシングルマーケット、ビジネスと都市の在り方としてオープンイノベーションのデザインパターンについて、また、オープンイノベーションを行うために、企業家がどのような精神や考え方を持てば良いか、そしてイノベーションの実践とこれからの方向性について発表されました。
第二幕のパラレルセッションでは、5つに分かれたテーマで行われました。
- 『Future Cities, Citizens Participation and Living Labs』
- 『Implementing Urban Agenda – Cities and regions as launch pads for digital transformation』
- 『Data driven Innovation for Digital Single Market』
- 『Open engagement platforms as value enabler』
- 『Business Challenges of Open Innovation2.0』
2016年3月より、世界銀行は産学官民様々なバックグラウンドを持つ人々がユニークなコラボレーションを生み出すような特徴的なオープンイノベーションの取り組みを紹介するため、先進的なイノベーションエコシステムを持つ都市として福岡市を含む14都市を選定し、当協議会は福岡市のエコシステムのキーファクターとして選ばれました。カタリン氏は、そのインタビュアーとして本の出版に関わっており、その経緯から、本会議での取り組み紹介に繋がりました。
カタリン氏の発表主旨は、以下の通りです。
- カタリン氏がCEOを務めるCivic Tech Amsterdamは、地方の中小企業・域内産業へビジネスを提供するためのプラットフォームを構築している。
- 現代の消費者ニーズは、地方の1企業で対応することは難しく、企業が集合しネットワーク形成することによって、把握・活用が可能となる。
- Civic Tech Amsterdamが作るプラットフォームは、ときには欧州委員会や世界銀行、Nesta等、政府との結びつきを得ながら、サークルをつくり資源をシェアする。この資源とは、オープンソース・オープンシステム・オープンインフォメーションである。
- また、消費者のニーズに対応するということだけではなく、質の高いサービスを提供し、ビジネスを作るためにも地方の企業同士の連携、人と企業の連携というオープンな環境が必要である。そのことによって、消費者を真に満足させることができる。
- これがイノベーションエコシステムと呼ばれるもので、イノベーションエコシステムは、域内産業や中小企業が生き残るための解決策となり、グローバルなビジネスを続けることができる手段となる。そしてプラットフォームを作ることで、地方にもビジネスを提供している。
- そのような、オープンプラットフォームが機能している事例として、いま世界銀行とともに世界各地の先進的なイノベーションエコシステムを持つ都市を調査している。日本・福岡市における福岡地域戦略推進協議会はその事例のひとつである。
- 価値創造を可能にするオープンイノベーションプラットフォームは、利益を追求するのではなく、ポテンシャルを持つものを価値とし、それらを集めシェアしていくことにこそ、意味があるのである。