2016年4月14日、福岡地域戦略推進協議会(FDC)スマートシティ部会は、OECD(経済開発協力機構)がまとめた「コンパクトシテイ政策報告書」においてパリやポートランドなどと並び「先進的取り組み5都市」として取り上げられるなど、世界的に評価を得ている富山市の都市政策について学ぶことを目的として、スマートシティセミナー「富山市の都市政策を学ぶ」を開催いたしました。
セミナーは2部で構成。
第1部は「富山市のLRT を中心とした公共交通活性化に向けた取り組み」をテーマに、富山市都市整備部路面電車推進課企画係係長吉川賢一氏にご講演いただきました。
- 自家用車保有率の高さが公共交通を衰退させてしまい、車を自由に使えない人にとって富山市は極めて生活しづらい街になっているとの問題意識から、公共交通を軸とした拠点集中型のコンパクトな街づくりを目指す目標を設定。
- LRTやコミュニティバスなど公共交通ネットワークの整備や、公共交通沿線地区への居住促進を図るなど、車に過度に依存したライフスタイルを見直すことで「歩いて暮らせるまち」の実現に至った。
- これらの政策により、高齢者の外出機会の拡大、周辺地域での鉄道利用の活性化、市街地における民間投資の活発化、あわせて公共交通沿線への居住推進や観光振興にもつながるなど好循環の創出につながっている。
- 公共交通政策を軸にまちづくりを進めていくことで、市が抱える複数の行政課題の解決につながる結果につなげることができた。
第2部は、富山市広報課浅野哲平氏に「シティプロモーションからシビックプライドへ〜質の高いライフスタイルを市民が実感できる都市へ〜」をテーマにご講演いただきました。
- 雑誌タイアップやフィルムコミッションなど様々なシティプロモーションを進めていく中で実施した市民調査により、「地域への愛着」こそが富山市の定住に結び付いているという事実を再確認。
- 市民一人ひとりに地域への誇りや愛着、いわゆるシビックプライドを持つことがシティプロモーションにとっても重要な要素となるとの気づきにもとづき、「シビックプライド」の醸成とシティプロモーションを連動させていく施策を実施。
- 都市セールスによって交流人口を増加させるとともに、シビックプライドを有する市民を増やしていくことで、結果として転出者が減少し人口維持へつなげるというビジョンを持つに至った。
- この考えのもと、統一したロゴを活用し、象徴的となるモニュメントの設置やショーウィンドーでの活用や市民写真募集などに集中して取り組む「AMAZING TOYAMAキャンペーン」などのシビックプライド醸成に向けた様々な取り組みを実施した、
- まずは、ターゲット絞り、富山の良さを知ってもらったうえでその人達から富山の良さを伝えてもらう。
- 実際、これらの取り組みを通じ市民のシビックブライドが向上していくことで、転出が減少するなどの好循環を生み出している。
- 富山市はこれらの施策により総合力を高め、選ばれるまちになることを目指している。
FDCでは、福岡都市圏の成長に資するため、今後とも先進都市の取り組み事例に関するセミナーや都市政策についてのスタディを行ってまいります。