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イノベーションスタジオ福岡 Project#1「日常の中のスポーツのデザイン」オープニングワークショップ 開催報告

FDCニュース

「イノベーションスタジオ福岡」は、多様なバックグラウンド、能力をもつ様々な分野の人材が交ざり合い、共に新しい未来を創造していくプラットフォームです。
福岡の多様な人材と福岡内外の企業が,海外都市の人材や企業等と連携しながら,イノベーションの源泉となる「多様性」を重視し、約6ヶ月のプログラムを通じて,革新的なビジネスアイデアを創出し、創業・第二創業といったスタートアップにつなげていく特区に選ばれた福岡ならでは取り組みです。
初年度の年間テーマを「健康社会の創造」とし、第一弾プロジェクトとして取り組むのが、「日常の中のスポーツのデザイン」です。
スポーツ、運動が持つ可能性を最大限に活かし、現代社会が抱える健康にまつわる様々な課題を解決するビジネスを生み出します。
本プログラムのオープニングワークショップ「Uncover」が、9月13日から15日までの3日間で開催されました。
このワークショップで誕生した10チームが、今後、フィールドリサーチを通じて、イノベーションアイデアにつながる創造的な切り口を発見し、具体的なビジネスアイデアの生み出しまでを検討していきます。

※「イノベーションスタジオ福岡」は、産学官民が一体となって地域の成長戦略の策定から実行までを一貫して行う福岡地域戦略推進協議会(Fukuoka.D.C)が主導して推進しています。

■開催概要
【日時】      2014 年 9 月 13 日(土)~15 日(祝) 9:30-18:00
【会場】      9月13 日:福岡市役所 15 階講堂 (福岡県福岡市中央区天神 1-8-1)
         9月14-15 日:九州大学大橋サテライト ルネット(福岡市南区大橋 1-3-27)
【主催】     福岡地域戦略推進協議会(Fukuoka D.C.)
【参加人数】  約100名(参加者約60名、登壇者・アドバイザー・ボランティアなど約40名)

【開催の様子】
■1日目
<市長挨拶と為末大氏からの応援のメッセージ>
ワークショップ開始の挨拶として、髙島市長より「福岡の『住みやすく働きやすい』環境と、市民力の高さを活かして、イノベーションスタジオ福岡、スタートアップカフェを軸に、『グローバル創業都市・福岡』を目指して一緒にチャレンジしていきましょう」という応援のメッセージをいただきました。
それを受けて、本プログラムのThought Leader(実践的先駆者)である為末氏からは「1人でも手を動かして何かを生み出すことがイノベーション。
みんなでディスカッションして満足するということに終わらず、福岡からイノベーションを起こして、世界を変えたい」という力強い言葉を頂きました。

先入観を取り外す6時間
初日は、参加者の既存の概念を壊し、「日常の中のスポーツ」にまつわる情報をインプットしていきます。為末大さんをはじめとするThought Leader(実践的先駆者)4名、花王、コクヨファニチャー、正興電機、NTTコミュニケーションズ、味の素の最新リサーチ・開発情報の共有がなされ、福岡を中心にスポーツ関連事業に取り組む、森山氏、太刀山氏、八木氏から、それぞれがこれまでに取り組んできた活動の紹介を行いました。

■2日目
特区部長挨拶
2日目は袴着賢治特区部長による挨拶より始まりました。若者や女性の多さやビジネスコストが安いなどの福岡の創業環境の良さや、これまでの福岡市の取組みの紹介が行われ、グローバル創業・雇用創出特区として選ばれた福岡市独自の施策と、国の国家戦略施策のパッケージ化で福岡モデルのスタートアップ環境づくりを行っていきたいと説明がなされました。

グローバルトレンド
次に、イノベーションスタジオ福岡ディレクターの田村氏より、スポーツのグローバルトレンドに関するレクチャーが行われました。
20の最新事例から見られる、スポーツの世界的な傾向(Nodge(そっと背中を押す)、社会の最適化、自分の数値化、Mash-upなど)の紹介がありました。

グループワーク
1日目、午前中の情報提供をうけて、参加者それぞれの関心をワールドカフェ形式でまとめていきます。
12程度の関心ごとのグループに分かれ、テーマの背景・問題意識や対象者の把握、全体像を見るためにスケッチなどを交えながら関心を深めていきます。

■3日目
フィールドリサーチ概論、フィールドワークの進め方
イノベーションスタジオ福岡ディレクターの田村氏より、文化人類学、社会学での調査方法であるフィールドリサーチについての概論が行われました。
特に文化人類学では、未開の土地に行くことで、自らがどのような考えや常識に捉われていたかを知るという方法が一般的です。この方法に従って、現代の未開の地に立つ人(常識に捉われない人)=エキストリームユーザーにインタビューを行い、新たな視点を得ていきます。

リサーチ計画をたてる
エキストリームユーザーへの問いの設定と対象者決めで、各チーム大いにテーマを深めていきます。
その後、福岡・関西・東京などに散らばるチームメンバーとともに今後テーマを進めるための役割分担決めとスケジューリングを行い、3日間のワークショップを終えました。

■今後のプロジェクトスケジュール
9月16日~11月28日   チームごとにリサーチ&フィールドワークを実施し、テーマの焦点を探る。
11月29日~30日      チームで取り組んだイノベーションのアイデアをさらに磨き上げるワークショップを開催。
11月31日~2月中     アイデアの事業化にむけた試行品・試行サービスの検証。
来年2月           各チームが事業化に向けたプランを発表し、グローバルに活躍する方々からのアドバイスや連携先の紹介などを踏まえてアイデアの具体化。

■組成された10のチーム
① 障害とスポーツ
  テーマ:スポーツでハンディをプラスに
  障がい者スポーツなどを行っている方を対象に、障害が強みになったことを聞き出す。
② 朝と健康
  テーマ:早起きは本当に健康にいいのか?(「朝」を疑う。)
  早起きしている人は朝や夜にどんな生活・経済活動を行っているか調べる。
③ 子どものスポーツと学び
  テーマ:子どもがより運動をし、健康になるためには親のどんな働きかけが必要か?
  子どもの運動教室に熱心に通わせる親に対してヒアリングをする。
④ 刺激を与える空間づくり
  テーマ:何が人の箍をはずすのか?
  常人からは「箍が外れている」と感じるようなアーティストや冒険家にインタビューし、どんな刺激が人の箍を外させるのか調べる。
⑤ デスクワーカーの運動
  テーマ:最大パフォーマンスを生み出す、タメと伸びの黄金比
  ハイパフォーマンスを出している人間や組織の一日の生活を調べ、パフォーマンスを最大化する(伸びをつくる)タメ(休息)をどう作り、組織に  導入するか考える。
⑥ スタンドアップワーカープロジェクト
  テーマ:オフィスワーカーがじっとしていられないような仕組みづくり
  じっとしている人を観察し、動かざるを得ないような環境の要素を見出す。
⑦ スポーツとまちづくり
  テーマ:動きたくなる街、福岡 〜どこでもスポーツ〜
  どういう場所なら、運動をしたり、し続けたりできるか。
⑧ 体づくり
  テーマ: 日本人は体づくりに無頓着?
  スポーツジムなどに通う、スポーツに熱心な人はどのような意識をもっているのか
⑨ スポーツと性
  テーマ:女性の幸福感に繋がる性とスポーツの関係
  女性性を解放しているターゲットにヒアリングを行い、女性の不安や悩みを解消させる運動習慣と「性」の関係を探る
⑩ 継続チーム
  テーマ:パターン化が継続になる
  スポーツを継続している人は自分なりのスイッチを持っているのではないかという仮説に基づき、同じことを何年も続けている人からヒントを探る。

■Thought Leader(実践的先駆者)プロフィール
為末 大
(株式会社R.project取締役)

元プロ陸上選手。スプリント競技における日本初の世界大会メダリスト。
五輪はシドニー、アテネ、北京の3大会に連続出場。2012年に現役を引退。現在、アスリートソサエティ代表理事。
執筆、テレビ出演等多方面でスポーツと社会についての活動を広げている。
競技に打ち込む独自のスタイルと自分を見つめて思索する姿が感銘を呼び、「侍ハードラー」または「走る哲学者」と言われている。

石川 善樹
(予防医学研究者、医学博士)

専門は、行動科学、ソーシャルマーケティング、統計解析。地域に住む人やオフィスで働く人の健康づくりを研究。
東京大学医学部健康科学科修了、Harvard School of Public Health修了(MS)
TEDxUTokyoスピーカー、NHK News Web出演中(金曜日担当ナビゲーター)現在、株式会社キャンサースキャンでイノベーションディレクター、Campus for Hで副社長をつとめる。

遠藤 幹子
(マザー・アーキテクチュア代表理事、建築家)

東京芸術大学とBerlage Institute(オランダ)にて建築修士取得後、東京で一級建築事務所を開設。まちづくり、公共文化施設、国際協力プロジェクト、テレビセット等、幅広い領域でデザインと教育の活動を広げている。
一児の母。「人の遊び心やイマジネーション、創造力を育む場のデザイン」が永遠のテーマで、「思わず走り出したくなる空間の魔術師」とも言われている。
http://mother-architecture.org/

中西 泰人
(慶応義塾大学環境情報学部准教授)

インタラクションデザインの研究を行うほか、メディアアートの制作やワークショップの運営を行う、人間の創造性を引き出す場をデザインすることに関心を持つ。
カメラやセンサを使い人の身体を入力としたシステムを多く作り、デザインの対象をスポーツに広げ、関連したトピックを http://mediasports2020.wordpress.com/ に集めている。

イノベーションスタジオ福岡 公式サイト  http://www.innovation-studio.jp/